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○安全環境色が一般人のために、すでに種々に考慮されているはずの色彩計画ではあるが、この一般人の中に、これから高齢者も高い率で含まれてくることを思うと、いま一度見直しが必要である。安全環境色の黄変化による変化の事例を表1に示す。

 

表1 安全環境色の黄変化による変化の事例

色彩の変化

もとの色

変化した色

変色による安全上の問題

検証場所・部位

ほぼ近い色名(用途ほか)

系統色名(トーン)(JIS該当記号)

ほぼ近い色名

系統色名 (JIS該当記号)

1

?@ 防火標識(赤)

シグナルレッド

さえた赤

(4.0R 4.5/14)

   

消火栓:消化器は問題ない。

位置確認に最も適した色。

?A 方向標識(赤)

ピーコックブルー

さえた青緑

(10.0BG 4.0/10)

   

非常口などの誘導標示は、暗緑色に変色するが、照明で輝いているため誘導には支障ない。

?B 非常階段

指定色なし

     

段鼻が路面と同色の場合、降りる時に端部が不明瞭で危険。

2

1.信 号

?@ 止まれ(赤)

シグナルレッド

(交通信号用)

さえた赤

(4.0R 4.5/14)

べに色

さえた紫みの赤

(1.0R 4.0/14)

問題ない。警告に適した色。

いろいろなフィルターにかけても比較的変わらない色。(警視庁)

?A 進 め(青)

エメラルドグリーン

(交通信号の緑)

つよい緑

(4.0G 5.5/9)

マリンブルー

濃い緑みの青

(5.0B 3.0/9)

かなり暗く判断しにくい。

赤・青・黄の区別はできるが、微妙な色調の感覚が失われる。

?B 注 意(黄)

カナリヤ色

明るい黄

(5.0Y 8.5/11)

クリーム色

薄い黄

(5.0Y 9.0/3)

白色化、見にくい。

2.禁止区域 ?@車道

センターライン(黄)

たんぽぽ色

(横断歩道警告色)

さえた黄

(5.0Y 8.0/13.5)

やや暗い白

やや黄みがかかっている

無彩色

白色化により警告用に用いた黄色の意味がなくなる。

?A 歩道・横断歩道のふち(白)

純白

(スノーホワイト)

(N9.5)

黄水仙(きずいせん)

あさい黄

(5.0Y 9.0/7)

黄変化するが、横断歩道の標示は、理解できる。

?Bエスカレーターの踏み台の縁(黄)

カナリヤ色

明るい黄

(5.0Y 8.5/11)

クリーム色

薄い黄

(5.0Y 9.0/3)

上方より見たとき、踏込み線の黄色が見えない。ただし、水平部では見えるため、利用上支障ない。

3.注意・禁止

?@ 駅プラットホームの端点字ブロック(黄)

こうじ色

(点字ブロック)

さえた黄みのオレンヂ

(8.0YR 7.0/14)

はだ色

あさいオレンヂ

(5.0YR 8.0/5)

プラットホームの向い側の壁と同色の場合、端部の見分けがつきにくい。

?A 工事中の注意(黄・黒)

 

(2.5Y 8/12)

   

黄色が白色化するが、標識の輪かくと、注意の文字が黒色のため理解できる。

?B 立入禁止(赤・白)

 

(5R 4/13)

 

(4.0R 3/13)

赤色は有効、白色は黄変化するが禁止文字が黒色のため理解できる。

3

ち・建

?@ 地下鉄路線案内表示

つゆくさ色

明るい青

(3.0PB 5.0/10.5)

スモークブルー

灰みのスカイ

(3.0PB 6.0/3)

路線図の緑・青は、ほとんど見えない。

?A 街の案内板

濃藍(こいあい)

濃い青

(3.0PB 2.5/10.5)

ネービーブルー

暗い青

(3.0PB 2.0/5.5)

白色の青変化、青色の黒色化で、周辺と同色になり、区別しにくい。

?B 段差

スロープ

ベージュグレイ

明るいブラウンみのグレイ

(4.0YR 7.5/1)

うこん色

強い赤みの黄

(2.0Y 7.5/11.5)

陰影のはっきりしない段差、またはスロープを上方より見たとき縁がはっきりしない。

?C 案内床の立ち上がり

くり色

(屋内の腰・幅木に使う)

灰みのブラウン

(4.0R 4.0/6)

なす紺

暗い紫

(6.0P 2.0/8.5)

腰壁面が高くなると、感じが暗くなる。

 

 

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